昭和32年に建設された別府市の市営温泉、不老泉は、歴史を感じさせる建物です。中に入ると、雰囲気が故・美空ひばりさんに似た番台の"おじょうさん"が登場。まさに"おじょう"の中の"おじょう"です(24歳なのにこのネタを書く自分が少し怖い…)。 「蒸してきよんなぁ。こりゃあ雨が降ってくるなぁ。100円ね」 で、男湯に入ると、脱衣場が異常に広い!! 卓球台が置けてしまいそうな広さです。
これまた広い浴場に入ります。先客は10名ほど。まずは、マナーなのであいさつ。 「おはようございます」 反応ゼロ。ものすごく冷ややかなムードが漂います。私、空気を読み違えたようです。別府には数多くの温泉があり、例えばホテルの温泉は観光客向けなのであいさつは多くの場合不要ですし、共同温泉では逆にあいさつをしないと雰囲気が悪くなります。不老泉は共同温泉なので、あいさつをしたほうがいいかな…と思ったのですが、それも時と場合と「広さ」(広い温泉は入浴客が多いため、あいさつが少ない傾向がある)によります。異邦人の気分を味わいつつ、お湯に浸かります。
これが熱い!! 周りの雰囲気と対照的にものすごく熱い!! 何とか3分間耐えました。肌がみるみるうちに赤くなっていきます。湯上がりの身体はポカポカを通り越してジンジンしています。もしかすると、入浴客の方々はあまりのお湯の熱さで無口になっていたのかもしれません…。
浴場を出るときは、当然、空気を読み、あいさつしませんでした。時間帯や入浴客にもよると思うのですが、私が訪れた時点での不老泉には、そういう文化がありました。
広い脱衣場でしばらくゆったりしてから、外へ出ました。自動販売機でヤクルトを2本ゴクリ。汗がおさまりません。そのうち、"おじょう"の予言通り、雨が激しく降ってきました。雨に濡れる路地裏の雰囲気を味わいつつ、次の温泉へ向かいます。
★追記(リニューアル後:2014/9/16) 以前の入湯記から7年。その後、老朽化の進んでいた建物は取り壊され、2014年夏にリニューアルオープンしたため、早速訪れました。 一言でいうと「普通の市営温泉になった。だが、面影は残っている」というのが感想です。かつてあった広場はなくなって駐車スペースになり、学校の教室を想わせるように広かった脱衣場は普通のサイズ(籐が敷いてあっていかにも市営温泉らしい雰囲気)になっていました。浴場内もかなりリニューアルされ、浴槽があつ湯とぬる湯に分かれました。あつ湯も42℃で、別府の「熱い」温泉の中では普通です。が、リニューアル前を想わせる重厚感と言いましょうか、浴槽が御影石でできていて、とても立派なのが個性的です。 温泉は語らいの場。番台の"おじょうさん"と入浴客の女性は振り込め詐欺防止の話で盛り上がり(入浴客の女性のほうが「わたしゃあ、公衆電話(携帯電話のことか?)からかかってきた電話は絶対取らんですけんね、」とひたすら力説)、男湯の脱衣場では年配の男性が「先日、頸椎を事故でやってしまいまして…」と笑顔で話すと「そらぁ、大変やったなぁ…」と皆で相槌。「やけど、この通り元気にしちょんわぁ」といった感じで、とても和やかな雰囲気でした。 7年前に書いたあいさつのくだりは消したい… わりと広い温泉で人が多いので、みんな気を遣って、出入りするときにいちいちあいさつしないのです。これは、今も同じ。温泉は、気遣いの場でもあるのです。
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