「春日温泉」と書かれた建物に入ります。番台さんらしき"おじょうさん"は、近所の方と電話中。右にも左にも温泉らしきものが見当たりません。「裏だな」と気づき、電話中の"おじょうさん"に会釈し、建物を一旦出て、そっと裏へ移動。
あった。温泉ありました。しかし驚きですね、水色に塗られた木造の扉が実に古い。生徒数が数十人しかいないような山間の分校に来たような感じです。中も古い感じ。別府の共同浴場によくある、脱衣場と浴場の間に壁がない造りです。JR別府駅前は確かに都会的ではないんですけれども、春日温泉の田舎っぽさは格別です。高原野菜か何かを育てている農村にあるような共同浴場…そんなカタい言葉ではなく、「みんなのお風呂」といった雰囲気です。
先客が2人いました。50~60代の"おじさん"と、80代くらいの"おじいさん"です。"おじいさん"は椅子に座り、"おじさん"から体を洗ってもらっていました。2人は親子ではなく、"おじさん"が"おじいさん"を介護しているようでした。
ほぼ無色透明の温泉に入ります。はぁ~落ち着きますねぇ。「今年ゃピーマン豊作だ~」などと歌いたくなります(畑仕事はしたことがないんですけどね)。
"おじさん"が"おじいさん"にいろいろ話しかけています。 「○○さぁん、台風が来よるなあ、稲が黄色くなりよるけん大変やなあ」 「かみそりの刃を替えたよ、ひげ剃ったら男前になるよ」 「皮がむけよるけんこするよ。一皮むけたらかっこようなるよ」 なんともほのぼのとした会話、そして温泉に癒されました。
帰り際、この入湯記を作成するためにデジカメで写真を撮っていると、"おじさん"が私に話しかけてきました。 「インターネットで紹介するんやったらこれも撮っていきなさい」 と"おじさん"が指し示したのは、金属の棒。てっきり床に固定されている配管だと思って気にも留めていなかったのですが、持ってみると確かに棒です。 「あんた別府の人や言うけど、これは何をするやつか分かるかえ?」 「いや、ちょっと分かりませんねえ」 「これは掃除をする棒じゃ、こうやって浴槽の床のゴミを吸い取っていくんじゃ」 というわけで私も"お風呂掃除"に挑戦。金属棒の中は空洞になっており、柄に付いた穴を指でふさいで浴槽に入れ、ゴミがあったら穴から指を離し、ゴミを吸い取るのです。原理は分かったのですが、いざ掃除してみるとこれが難しい。なかなかうまくゴミを吸い取れません。 「ほれ、どうした。ホウキを持つ要領で棒を持つんだよ」 そういえば、最近ホウキを持ったことすらありませんでした。温泉は社会勉強の場。いろいろなことを年長者から教えていただき、そして次の世代に受け継いでいく。私もまだまだ勉強が足りません。
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