かなり小ぢんまりとした建物なのに、緑やら黄色やら原色が散りばめられていて、個性的な雰囲気が漂っています。一人の入浴客が出てきました。遠方から来たようなのですが「熱ぃ熱ぃ」とつぶやいています。そんなに熱いんでしょうか? お賽銭で入れるということで、早速5円玉を賽銭箱に入れて浴場へ…それにしても入口が狭い。
外観に負けず劣らず、浴場内もひなびた雰囲気です。打ちっぱなしのコンクリートと思われる狭い洗い場には、APUの学生さんと思われる若い方と、地元の60代くらいの男性がいました。その間に割って入り、かかり湯。小さく絶叫。 「あちぃ!!」 その熱さたるや半端ではない!! 寿温泉や鉄輪のすじ湯温泉の比ではない!! まだお湯に浸かってすらいないのに、熱さが体にじんじんがんがん伝わってきます。私の温泉めぐりでは各温泉に最低3分は浸かることに決めているのですが、3分も入っていられるか不安になってきました。
その時、70~80代くらいの長老が入ってきました。私が入浴をためらっている様子を見て取ってか、 「あちぃ、あちぃ言うたてん心配せんでもヤケドせんわぁ。キン○マ下げちょんのやけん腰まで入りよ」というわけで、3分間、地獄の入湯。
もう、熱いというより「痛い」。痛くて腕はお湯に浸けられません。お湯の質など味わっている余裕はありません。
お湯に浸かって「あちぃ、あちぃ」言いながら、二人のお年寄りと温泉談義。 「…お湯はどこから出ているんですか?」 「湯元はここじゃぁ、ここから出よるやろ、あんたが入っちょるところは湯元から一番遠いけん一番ぬるいわぁ」 ごめん。決してぬるくない。 「それにしても熱いですね」 「おぅ、ここは水を入れんけんのぅ。あーんた、今は9月やけん、ちったぁ(少しは)ぬりぃけど、6月とか7月はまーだ(これ以上に)熱いわぁ」 どんだけ熱いんだよ!! 腕時計で3分が経ったところで早々に"脱出"しました。
私が服を着ていると、長老がお湯に浸かっていました。湯元の一番熱いところに、平然と腰まで浸かっているのを見て一言。 「別府の温泉をあちこちまわってきたんですけど、ここは別府一熱いですよ」 「そうかぃ、そりゃあそうじゃろう」 「これだけ熱いお湯にいつも入っていたら、きっと長生きしますよ」 「まぁ毎日入りよったら慣るるわぁ」 体に効きそうな温泉で、激辛カレーマニアならぬ"激熱"温泉マニアにはおすすめですが、どうか、血圧の高い方はご注意を。
ちなみに、この温泉は一年中熱いわけではなく、冬はあまり熱くないらしいです。というわけで、温泉の熱さを確実に感じたい方は、ぜひ夏にお越しください。
||別府八湯
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