保養所も多い新別府の閑静な住宅街に、一軒だけ、山里や漁村にあるような古びた"民家"…いや、温泉があります。昔懐かしい「おたふくわた」の看板が印象的な市の原温泉。そのレトロさから、地元の新聞に取り上げられたこともある温泉です。これに「カクイわた」とか「ボンカレー」「オロナミンC」の古い看板があったら、もう完璧だな…と思いつつ、中へ入ります。
コンクリートの壁に油性マジックで「男湯」と書かれていたり、木造だったりと、浴場内にもひなびた雰囲気が漂います。先客は一人。洗い場が狭いため、かかり湯では気を遣いつつ、打ちっぱなしのコンクリートでできた浴槽へ。
お湯は加水しないため熱いのですが、外観のイメージとは違って美しく透き通っています。あまりにもひなびた雰囲気なので、お湯に浸かりながら、女湯に『水戸黄門』の由美かおるさんがいて、お湯をかけられる妄想さえ感じました。時代劇のセットとは言わないまでも、昭和初期のドラマのセットなら十分に使えそうな雰囲気です。
石鹸で体を洗い、洗髪。床が打ちっぱなしのコンクリートで少しギザギザしているため、お尻が痛い!! 市の原温泉は、視覚と触覚に懐かしさを痛いほど感じさせる、思い出に残る温泉です。
そういえば、入口に「別府八湯温泉道」のスタンプがありませんでした。この温泉のスタンプは、幹線道路を渡った斜め向かいにある食料品店、新別府食品にあります。
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