2006年夏にリニューアルオープンした鉄輪むし湯は、その名の通り蒸し風呂です。と言っても、普通のサウナとは趣や入り方がかなり違います。おっと、入口の両側に陶芸の窯のようなものが見えますね。これが蒸し風呂(左が男湯、右が女湯)です。さて、私も焼かれて…失礼、蒸し風呂を体験してまいりましょうか。
建て替えられたばかりで、室内にはまだ真新しい雰囲気が漂っていました。この鉄輪むし湯は短パン、Tシャツ(または浴衣)を着ないと入れません。受付の脇には衣服の自動販売機がありますので、持ってくるのを忘れた方でも大丈夫です。受付では「初めての方ですか~?」と"おじょうさん"に訊かれました。「そうです」と答えると、懇切丁寧に入り方を教えてくださいました。 「まず貴重品は預けていただいて、ここ(むし湯の入口前)で服を脱いで、こちらの温泉(隣に露天風呂がある)で下の方を洗ってください。洗い終わりましたらTシャツと短パンを着て、声を掛けて下さい」 言われた通りに、まずは下半身を洗います。 「では、むし湯に入りましょう。メガネは外して入りましょう(熱さで曲がってしまうため)。(濡れたタオルを手渡され)入口の近くに石がありますので、その上にタオルを置いて、それを枕にして、奥のほうに足を向けて、仰向けになってください。タイマーを渡しますので、10分経って鳴ったら出てきてください。もし鳴る前に気分が悪くなったら早く出てきてください」 というわけで、10分間のむし湯体験、スタート。
おっと、メガネを外しているのでほとんど何も見えません。入口の天井が低く、頭をぶつけそうになってしまいました。室内はほとんど真っ暗で、75℃に保たれていて熱いです。床には石菖という草が敷き詰められていて、湯気でじっとりと濡れており、草の香りが石室じゅうに充満しています。その上に寝転がるのですが、まあ草が熱いこと熱いこと。裸で寝転がっていたら1分もたないでしょうね(だからTシャツ等が必要なんです)。衣服を着けている背中や腰は大丈夫なんですが、直接草に触れるかかとが異常に熱い!! 何度も体勢を変えないとつらいです。何かの映画で「俺を焼かないでくれ!!」という台詞があったのですが、まさにそれを叫びたかった。もちろん、焼かれたりしないですし、発火するはずもないのですけれどね。タイマーを見つつ、死後の世界(あるの?)のこととか、少しだけ考えてしまいました。天井付近に小窓があり、そこから、かすかな光が漏れています。お釈迦様がそこから極楽行きの蜘蛛の糸を垂らそうものなら、すぐに飛びついたことでしょう…なんてね。
タイマーが鳴って外へ出ます…入口の天井に頭をぶつけてしまいました。「ああ、これがこの世なのか…」と思ってしまいました。先ほどの洗い湯でリカバリー。汗がどんどんどんどん湧いてきます。椅子に座り、雲の切れ間の青い空を見ながら再び「ああ、これがこの世なのか…」と思いました。閻魔様の業火とはおそらく比べ物にならないんですけれど、個人的に、むし湯はちょっとした「地獄めぐり」でした。遠方から来た方にはぜひ体験していただきたい!! 一生の思い出となることでしょう。
||別府八湯
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