京町は別府駅に比較的近いながら、農業が盛んでない別府には珍しく、田園風景が残る住宅街です。京町温泉はそんな住宅街の一角にあり、2階が京町公民館になっています。1階が住民の共同浴場で、2階が公民館、というのは、別府によくあるパターンです。住民の輪をつなぐもの、それがまさに別府ならではの「温泉の恵み」というわけです。
番台さんに100円を渡します。40~50代の、まだ若い男性でした。別府八湯温泉道のスタンプをスパポートに押し、さらに単語カードにも押すと、番台さんが一言、 「あんた珍しいね」 まあ、そりゃそうでしょう、スパポートだけじゃなく単語カードにまでスタンプを押す人間なんて私くらいなもんでしょう、と私が言うと、 「それも珍しいけど、洗面器を持っている人が珍しいんだよ」 ??? 温泉は洗面器を持っていくものでしょう、ましてこういう共同浴場に行くときは当然でしょう? 「いや、スタンプを押してまわる遠方の人は、タオルはまあ、持ってるんだけど、洗面器は持ってない人が多いですよ。温泉に入っても、5分で出て行きますよー」 それって入浴っていうより行水じゃん!! 別府八湯温泉道も、もはや単なるスタンプラリーなのでしょうか…。それはそれで私はアリだと思うんですが、まあ、100円を払うわけですし、せっかくだから湯をしっかり味わってほしいですよね。…何だか私が馬鹿まじめで愚かに思えました。それもそれで、アリだと思います。温泉の楽しみ方なんて人それぞれでいいんです。
そんなこんなで、無人の浴場の中、一人で温泉に浸かります。…熱い!! 身にしみる!! でも、この共同浴場の熱さがいいんですよね。私が慣れているからかもしれないのですが。温泉は比較的透明でした。おっと、小さい子どもが入ってきましたね、水を入れるといたしましょう。温泉はみんなのものですから。
京町温泉のスタンプには、酒瓶と酒の肴が描かれています。なんでも、向かいの酒屋さんで湯上がりの一杯を楽しめる、といろいろなサイトや本に書かれているわけですが…、向かいに酒屋さんなんてありませんでした。番台さんいわく 「ああ、酒屋さんはなくなったよ、マンションになったよ」 とのこと。街並みはどんどん変わっていきます。
もう夕暮れ時。通りには、洗面器を持って歩く年配の方がいました。交差点を曲がると、今度は自転車に乗って、やはり洗面器を持った兄妹が通り過ぎていきました。老いも若きもみんな、これから京町温泉に行くのでしょう。別府の街並みは変われども、そこに住む人の温泉好きは変わりません。温泉は、完全に生活の一部になっているのです。
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